「そんなの、まだつけてんの」



それはまだ優しかった頃の凪くんに貰った、イヤリングのこと。



うちの学校は割と校則が緩い方だし、基本いつもつけてる。



「これは…凪くんからもらった大切なものだから」


これだけは凪くんになんと言われようと私の宝物なんだよ。



あの時どれだけ嬉しかったか。



「…なにそれ」



そう言って、私の隣をすり抜けてエレベーターの方へ消えていってしまった。



凪くんが見えなくなって一気に力が抜ける。



ああ、緊張した。



どうして、私は凪くんにあんなにも嫌われてしまったんだろう。