風季はいいなぁ、明るくて元気で人を引き寄せる力がある。




はぁ、なんか今日はどっと疲れたや。



…明日もきっとなんか言われるんだろうな。



そんなことを思いながら、マンションに入って家の玄関に鍵を差す。


うちは505、霧沢家は506



「…凪くん、忙しいのかな」



ぽつり呟いた言葉



最近姿すら見ていない。




その瞬間、隣の506の扉が開いて出て来たのは、



「、な凪くん!?」




「…何」




うんと低い声、目線すら合わない。



その綺麗な顔には似つかわしくない。



…傷つく



「あっ、あの、ひ、久しぶりだね」



「……」



ぎこちない笑顔を作っていってみても、言葉は返ってこない。



常に一方通行



「最近さらに忙しそうだねっ。体調気をつけてね」



「お前に関係ある?」



精一杯紡いだ労いの言葉も、一刀両断



「っ、ないね…」


ないよね、凪くんと私は何も関係ない。



そう言いたそうな目だった。