「兄貴」



「なんだよ」



珍しく風季が俺の部屋に来た。



いつもとは違うその雰囲気に違和感を感じた



「兄貴って、しずくのこと好きだったりする?」



「は?突然なんだよ」



真っ赤な顔をしてそんなことを聞いてくる風季に嫌な予感がした。






「俺…しずくのこと好きなんだ」





恥ずかしそうに、そういう風季にひどく胸が痛んだ。



「…そっか。お似合いじゃん。」



俺はそう言った。



しずくには俺なんかより明るくて社交的な風季の方がお似合いだ。




これで覚悟ができた





「…俺の好きな人は、つららだから。」





2人に大きな嘘をついて、




この気持ちには蓋をしないといけない。



俺が身を引けば、風季としずくは結ばれるはず。



それに俺と万が一結ばれても、ろくにデートもしてあげられないし、週刊誌に撮られでもしたら一般人であるしずくが俺のファンから袋叩きに合うのが目に見えてる。