凪side




「はぁ〜もうちょっとさ、しずくに優しくできないの?」


しずくが傷ついた顔をして出ていったあと、すぐにつららからのお説教が入る。


「…無理」



だって、合コンとか、焦るだろ。



行かせたくないに決まってるだろ。



「拗らせすぎでしょ。しずくのあの怯えきった顔。かわいそう。」




俺がしずくのことを好きな気持ちを知っているのは、つららただ1人。


「分かってると思うけど、しずく可愛いんだからね?」



「んなの、分かってるよ」


あいつがちゃんと身なりを整えて、可愛い格好なんてしてみろよ。この世の終わりだろ。


全世界の男が惚れてしまう。



つららみたいに派手な美しさじゃなくて、奥ゆかしい透明感のある上品な顔立ちなんだよしずくは。



諦めるってとっくの昔に決めたのに、なんで俺はまだあいつを必要以上に遠ざけて傷つけて、



独占欲まで持ち合わせて、バカみてえ。