そんな雰囲気とは正反対に、私の心は乱れていく






どうしよう…




「頑張ってるか、風季」



「風季くんも、やっぱり才能あるよ」



「ありがとうございます」



「良かったじゃん」




眩しい兄弟の会話に、女性スタッフさんの視線がキラキラ輝く



「幼馴染のしずくちゃん?も来てるよー」



なんてカメラマンさんの気遣いの一言で、




どうすることもできない私を、凪くんが捉えた





「っ…」




何を思ってるか分からない、力のない無関心な目線だった。




凪くんの奥で、心配そうに私たちを見つめる風季の姿




息が簡単に浅くなる。



生きた心地がしない、とはまさにこのこと




「あ、せっかくだし、兄弟で撮るか!」




私に対して何も言わない凪くんに疑問を持つ人は誰もいなかったみたい。



体が浮いてるような感覚、どうにかなりそうなくらい鼓動が速い。