あまり笑わないはずの間宮が少し微笑む。
そして流れるように私の手を握って、自分の制服のポケットに手を突っ込んだ。

「こうしたらあったかいっしょ。」
『……うん。』

また、思わせ振り。

片方の手で自分の頬に触れてみると、驚くほどに熱い。
……間宮にドキドキなんて、してない。
私と間宮は友達なんだし。
こんなチャラ男にドキドキするなんて、あり得ない。
こんな奴なんかに、一番ドキドキさせられてるとか、あり得ないから。

変に体温が上がって熱い身体に、冷たい風が吹く。
まだまだ学校まで遠い。

「顔真っ赤じゃん。」

なんてからかってくる間宮。
見られたくなくて、もう遅いけどそっぽを向く。

そんなの、間宮が悪いんじゃん。

好きでもない女にそんな思わせ振りするから。
そんな思わせ振りで、私達の関係壊さないでよ、馬鹿。
私、勘違いするかもしれないじゃんか。