「さて、帰るか。ん? 何してんだ? 箒構えて」
「ちょっと今から戦わなければならなくって! 和泉は先に帰って良いから!」
「逆に気になって帰れないんだけどな」
「大丈夫! 私が変なのはいつもの事だから!」
「まあ、それもそうだな。バカだし」
「へ? 今何か言った?」
「さっきから来るメッセージは坂木。推察するに待ち伏せされてると」
「ま、ま、待ち伏せ⁉︎ んなわけないじゃん」
「夢咲はもっと周りを頼っても良いと思うよ」

爽やか笑顔!

「いや、でもやばい奴だよ? 和泉を巻き込むわけにはさー」
「女の子を守るのが男の役目だから。行こ」
「あ、和泉ーっ!」

やっぱり和泉って良い奴だなぁ。

みんなが好きになるのちょっと分かったかも。

まあ、私は無いけど!

「夢咲は隠れてて。俺一人で話つけてくるから。ね」
「あ、ありがとう。危険な目に遭ったらこの箒使って良いから」
「持って来たんだ、それ」
「竹箒が嫌じゃない人間はいないはずだから!」

やっぱり中学からずっと生徒会所属してるのもあって正義感あるんだろうな。

親は議員だし、すごい議員にゆくゆくはなったり?

人望が異常なまでにあるし。

和泉はいつもの如くにこやかに話をしている。

まあ、生徒会副会長で次期生徒会長候補の和泉が言えばさすがに怯むかなぁ。

ああ、でも警察が言ってもやめないタイプのストーカーもいるから油断はだめかな。

「も、も、申し訳ありませんでした」

えっ!

私の元カレさん、ホラー映画でおばけを見た時の人みたいな顔してるけど!

「もう困らせないって分かってくれたなら良いよ。大丈夫。これから気をつけるなら、ね」

和泉は優しい笑顔で諭しているのに。

「ひいぃ!」

私の元カレは慌てて逃げて行った。