次の日の二十分休み。


「恋、一緒に職員室に行ってくれない?」


 恋の机にやってきた理央が聞いた。


「私提出しなきゃいけないものあるんだ。」


 恋は首を振った。



「ごめん、今日は」

「なんか用事?」

「うん」

「そっか。分かった」



 理央が行ってしまうと、恋は席を立って、昨日ミーティングのあった美術室へ向かった。

 窓の開いた廊下伝いに歩いていって、ガラガラとドアを開けると、箒や雑巾はとっくに片付けられて、教室には広い机が整然と並んでいた。

 恋は昨日座っていた席の机の下を探したが、そこにもファイルはなかった。

 恋は、走っていって廊下の落とし物入れも見たが、そこでも見つからない。