6時間目。係ごとのミーティング。
美術室に集まった恋たち美化係は、箒と雑巾の整備をしていた。
グループ用の机の上に置かれた新しい箒にクラス名を書き、集めてきた古くなって使えなくなった箒と交換する。
恋は、作業に加わらず、窓際に座って机の上にシャーペンで狐の絵を描いていた。
目を描き耳を描き、鼻は小さな丸を描いて仕上げる。
中々上手くかけたが顔以外は簡単にしか描かなかった。
「新田さん、これ、お願いしますね」
ふいに、声がして、机の絵を眺めていた恋が慌てて顔を上げると、先生が立っていた。
先生は恋の絵を見なかった様だった。
手渡されたファイルを見ると、クラスごとに交換された箒の数が書かれた用紙が入っている。
授業が終わると、恋は、ファイルを手提げに入れて、美術室を後にした。