学校へ行くと、理央と田山明日香(たやまあすか)はもう登校していた。

 恋と宗介が教室へ入ると、窓際から理央が気付いて手を振った。


「ねえ、恋と上野くんって、幼なじみなんでしょう?」


 ロッカーへ鞄をしまいに行った恋に、明日香が聞いた。



「うん」

「いつから知り合い?。幼稚園?」

「母親同士が仲良くて、赤ちゃんの時からなんだ。」

「ふーん、良いなあ幼なじみ。毎日一緒に登校するよね。」

「うん、毎朝迎えに行ってるよ。今日も誰かさんが寝坊して、こんな時間の登校。」



 宗介が恋を睨んだ。



「いつになったら早起きするようになるの、お前は。」

「だって」

「そういうのも幼なじみっぽくて羨ましい。昔からそういう感じなんだね。」

「二人とも家近くなんでしょう?」

「うん、隣」

「すぐ隣だよ」




 明日香が言った。




「そういえば、今日の六時間目って係のミーティングだよね。ひと月に一回の。」

「ああ」

「係によっては放課後に仕事があるんだよね。恋なに係だっけ?」

「美化だよ」

「上野くん学級委員に推薦されてなかった?」

「されたけど断ったんだ。僕は図書係。」

「恋、美化係ってなにするの?」

「放課後廊下の掃除して、あと備品の管理するよ。」

「ふーん、そうなんだ。私と明日香教科係なんだ。授業の後以外やることないよ。」



 宗介と恋が椅子を引いて席につく。
  チャイムが鳴ったので理央と明日香は自分の机へ戻って行った。