うそつき。



高橋 侑  高校2年生。




私は初めて付き合った彼に、そう言ってふられた。

何にも感じなかった。涙もでなかった。
だけど今になって、やっと気づいた。
まだ、本当の恋を知らなかったのかも知れない。




「おはよぉ」

私は、いつものように、8時に目を覚ました。
天気は、曇り。今にも雨が降りそうな、暗い空だった。
歯をみがいて、顔をあらって、ご飯を食べて、ともだちと待ち合わせをして、学校へ行く。

いつもと変わらない生活・・・のはずだったんだけど。


「いってきまーすっ」



靴を履いて、友達の桃といつも待ち合わせしているコロッケ屋さんに向かう。
あそこのコロッケは、とってもおいしい。それにね、店長のおじさんが、すっごく優しいから、おじさんもコロッケも大好き。


私は、コロッケ屋さんに、走っていった。だって、早く食べたかったんだもん。
だけど、今になってやっと異変に気がついた。
いつもなら、いるはずの食いしん坊の桃がいない。

「風邪かなァ・・・?」

そうつぶやいて、私は、ケータイを開いた。


”受信メール 8件”

8件??

誰からだろっ?

メールを開くと、それは、やっぱり桃からのメールだった。


”はやく学校きてっ”

”まだ・・・?”

”起きてる?”


先に学校いってたのかぁ・・・・早く言ってくれれば良いのに。




私は、この時、何にも知らなかった。

まだ、未熟だったんだ。


だけど、大人な彼は教えてくれた。

恋があったかくて・・・・せつないものだということを。