「ネェ、今お話し中なの。
 見て……分かんないかな?」



男の背後にいつの間にか居る、ガタイのいい男。


状況が読み込めない私は、交互に彼らを見ると、男の背中に歪な形をした刃物が刺さっていた。


黒い布越しでも分かるくらい血が滲んでいた。


だけど、痛みに耐えているどころか、痛みを感じてる気配すらない男がガタイのいい男に、私を見せないよう体で隠している。



「ひっ……」


「あー……刺されたのは俺なのに、なんで。どうして君が悲鳴をあげるのさ」



「……許してくれ……!!これは命令でっ、」


「命令……?命令で俺から大事なものを奪うの?
 欲しいのは命?
 それとも、この女??」



チラッと男は私を横目で見て笑う。


次の瞬間、勢い良く引っ張られた体はガタイの男に向かって投げられる。



顔が男の胸にぶつかった瞬間、私の横顔スレスレにトスッと軽い音が聞こえてきた。



ガタイのいい男の胸に、さっきまで男の背中にあった歪な形の刃物が刺さっている。



次の瞬間、血が私の頬を濡らした。