さっきまでシカバネと化していた自分から出たとは思えないくらい、大きな声が出た。

いやでも、当然の反応だと思う。



「ほ、本気で言ってますか……?」


「できるよ。病気を理由に退学させるシナリオを立ててたとき、俺が冬亜の親戚だっていう偽装書類を一通り作ってもらってたからね」


「……な……え、相楽さんがわたしの親戚? ギソウ、書類……?」



躊躇いもなく、うん、とうなずく相楽さんに開いた口が塞がらない。



「“相楽”じゃなく“鈴木”の運転免許証も保険証も戸籍標本も、まだ事務所にあると思うよ」



“鈴木”は、わたしの苗字だ。


「じゃあ、じゃあ相楽さんは、わたしの親戚の“鈴木さん”に擬態できるってことっ?」

「そういうことだね」


瞬きを繰り返す。

にわかには信じられない。


身分証を偽装するって犯罪じゃん……!