レオくんはあれよあれよという間に女の子たちの群れに引っ張られていく。
まさにハイエナのごとし。
お気の毒に……。
わたしにはどうすることもできないので、さっさと荷物をまとめて教室を出た。
5時前だから、まだ電車は空いている。
ぼうっと外の景色を眺めながら、お母さんのことを考えた。
──そんなときだった。
『──駅、──駅です。電車が完全に止まりましてから席をお立ちください……』
そこはまだわたしの降りる駅ではなかったのに、思わず立ち上がってしまった。
──ホームに、お母さんによく似た後ろ姿を見つけたから。
「……っ」
気づけば勢いよく飛び出していた。
髪型も背格好もよく似ている。
着ているワンピースも、部屋のハンガーに掛かっていたものと同じだ。
隣には、男の人がいた。
二人で腕を組んで歩いている。