「僕、今日久しぶりに今日部活ないんだけど、よかったら一緒に映画観て帰ろうよ」
「映画?」
「うん。ずっと誘おうって思ってたんだけど、部活忙しくてなかなか時間なくてさ……。あ、もちろん映画代は僕が払うよ。バイト代貯めてるから遠慮しないで」
「………」
映画館なんて、もう何年も行ってない。
行けるなら行きたい……けど……。
「ごめん、今日は、親戚の人にまっすぐ帰ってくるように言われてるから……」
「……。そっか、わかった。じゃあまた都合つく日あったら教えて。夏休み入ってからでもいいし」
「……うん」
都合がつく日とか、この先一生ないと思う……。
なんて言えるわけもなく、へらっと笑って誤魔化した。
「じゃあ今日は一緒に帰──」
「レオくんちょっとこっち来てっ! 2組のミカちゃんが話したいことあるってー!」
勢いよく近づいてきたクラスの女の子が、なにか言いかけていたレオくんの肩をがしっと掴んだ。