その人がゆっくりと振り返る。



「っ、」



目線がぶつかるとくらりと目眩がして、頭がボーッとした。



「っ、おまえ、」



その人が驚いたように目を見開いて言葉を発した。



「っ、…そ、の…」



なにか言わなくては、と思うのに、言葉がでてこない。


ボーッとした頭を必死にまわしていると、その人がゆっくりと私に手を伸ばした。



「んっ!」



唇に触れた熱い感触。


なにが起きているのかわからなくて。


でも、ただひたすら心地よくて。



「ふぁ、っ、」



強引に唇を割って入ってくる熱いものに必死に耐えて。


自分のものとは思えない甘い甘い声が漏れる。



「んっ、や、だ、ぁ」



いやだなんて少しも思っていない。


いつの間にか本棚に追い詰められていた。


逃げ場はなかった。


でも、そんな状況すらどうでもよくて。