「ん?

まだ秘密」



目だけをこちらに向けながら、いたずらっ子のように笑っている。


こ、この人、笑顔のバリエーションが多すぎる…


大人っぽいと思えば子供っぽくて、

かっこいいと思えばかわいくて、

ギャップが大きすぎる…



「そ、うですか」


「大丈夫。

変な所には連れて行かないから」


「は、はい」



距離感がわからない…


だってさ?


ほとんど話したことないんだよ?


出逢いが衝撃的過ぎて忘れてたけど。


明るくて、社交的な先輩だってことはわかった。


だからといって、どう接するのが普通?


だって、き、キス、しちゃったんだよ?


この人と。


斜め上にある律希先輩の顔を見上げる。


きれーな顔。


程よい厚みの唇。


く、唇っ…!


っ、ダメダメ。


思い出すな、柚菜。



「どうしたの?

俺の顔見て百面相して。

なんかついてる?」