おいで、と手招きする律希先輩の隣に並ぶと、ふわりと甘い香りがした。
この匂いにつつまれてみたいなぁ…
私の手が、私より少しだけ体温の低い手に包まれた。
「先輩…?」
「俺がこうしてたい。
だめ?」
律希先輩は、子犬のように小さく首をかしげてこちらを見ている。
「その、あの、ダメじゃ、ないです…
でも、律希先輩が他の人に私が彼女だって勘違いされちゃいます」
「それでもいいよ」
よくないよ…
律希先輩はこんなにかっこいいのに、私みたいなブスが彼女だってうわさになったら、律希先輩の迷惑になっちゃう。
そんな私の気持ちなんてそっちのけで、律希先輩は嬉しそうにふわりと微笑んでいる。
少し目線を下げると、繋がれた手が目に入った。
っ!
恋人、つなぎ…。
真っ赤になったであろう顔を、うつむけて隠す。
「あのっ、今日はどこ行くんですか?」