“ピーンポーン”
「柚菜ー!
お迎えきたわよー!」
え、今何時?
9時じゃん!
やばい!
準備終わってないよぉー
「ドタバタなにやってるの。もう。
朝倉くん待ってくれてるわよ」
心配したお母さんが私のいる洗面所までやってきた。
「うんっ、
もう行く!」
ほんとはハーフツインで行きたかったんだけどしかたない。
ヘアアイロンで寝癖を直してる時間はない。
超高速で髪の毛をポニーテールにして、シュシュでとめた。
鏡を見てみると、制服を着てないだけで、それ以外は学校に行くときと何一つ変わらない私と目が合った。
律希先輩のことが好きなわけじゃないけど、もうちょっとかわいい姿を見せたかったな…
最後の足掻きで、ちょっぴり色がつくグロスを塗った。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
玄関の扉を開けると、玄関脇の柱に寄りかかって立っている律希先輩がいた。