律希先輩そのものから、感じるような香りだ。


好きだなぁ…


好き……え?


今、好きって思った?


なにが…?


律希先輩?


そんなわけないじゃん。


律希先輩はαだよ。


で、私はΩ。


そりゃ魅力的だよ。


でも、それは恋じゃない。


本能だからしかたないんだ。


恋と本能を間違えちゃだめ。



“ピロン”



スマホの通知音で一気に現実に戻ってくる。



『来週の土曜日、9時に柚菜の家に迎えいく』



だ、だれ?


あっ!


律希先輩、だ。


私のスマホをいじってたのは、律希先輩の連絡先を入れるためだったのか。



『わかりました。

ちなみに、どこ行くんですか?』


『秘密。

土曜日のお楽しみ』



…律希先輩、絶対私のこと子供扱いしてる。


そりゃ律希先輩よりガキだけどさ、これでも高2だよ?


まぁ、仕方ないかな…


律希先輩のほうが年上なのは変わらないし。