私の頭には、律希先輩の手が乗ったままだ。



「は、はいっ」


「今度、俺とデートしよう」



でぇと？…でーと？


あっ！デート！


私と、デート？



「それは、いいんですけどっ、私とデートしても、楽しくないと思います、よ？」


「俺は楽しいからいいの」



今まで私とデートなんてしたことないのに、わかっているような言い方だな。



「そ、うですか。

なら、よろしくおねがいします」



律希先輩は私の頭に乗せている手の反対の手をこちらに差し出した。



「えっ？」


「スマホ、貸して」


「ど、どうぞ」



律希先輩のスマホと私のスマホは、全然機種が違うのに、律希先輩は戸惑うことなく、私のスマホを操作している。



「はい。ありがと」



1分もかからずに帰ってきたスマホには、律希先輩に貸す前から特に変わった所はなかった。



「なに、したんですか？」