「んー、まぁ、いいや。

最初だもんね。

特別だよ」



そういいながら、朝倉先輩がソファーから立ち上がった。


えぇ?


なにするの…?


朝倉先輩が再び腰を下ろしたのは、私の真隣。


私と朝倉先輩はゼロ距離。


太股がぴったり触れ合っている。


ち、近く、ない?


き、気まずい、よ。


ドッドッドッと心臓が速いリズムで動いている。



「大丈夫?

すぐに慣れるよ」



全然、全く、少しも、すぐに慣れる気がしない。


きっと今の私の顔は真っ赤だ。



「それで、どうしたの?」


そうだ、忘れかけてた。


私はお礼をするために朝倉先輩に会いに来たんだった。



「あのっ、この前は、ありがとうございました。

その、お礼、が、したいんですけど、朝倉先輩の喜びそうなものが、わからなくて…」



「大丈夫だよ。

でも、これからは発情期(ヒート)のときに外を歩いちゃだめだよ」