「失礼しまーす」



司書のおじいちゃん先生以外、誰も居ないのがあたりまえの図書室。


そんな図書室にある窓の横の席でいつも通り教科書を広げる。


図書室にいるからといって本を読むわけじゃない。


勉強をしたり、おじいちゃん先生と話したりして過ごしている。



「最近はどうなんだい?

困ったことはないかい?」



気がついたらおじいちゃん先生が目の前に座っていた。



「特に何にも変わらないです」


「そうかい、そうかい。

困ったことがあったらいつでも言うんだよ」



おじいちゃん先生は口下手な私でも、気にせずに話しかけてくれる。


Ωについて触れてくることもないし、気をつかってくることもない。


そういう所が本当のおじいちゃんみたいで、私はこの先生が一番好きだ。


静かな空気を破るようにギーッと扉が開く音がした。


私が図書室に来るようになって以来、初めて私以外の人が図書室にやってきた。