「朝倉くん、だったかしら?

柚菜をお姫様抱っこして連れてきてくれたの。

ものすごいイケメンだったわよ。

やっぱり柚菜は面食いねぇ」



あさ、くら…?


だれ?


少なくとも私のクラスの人じゃない。



「あと、葉凪ちゃんも一緒にいたわよ。

あ、そうそう。

葉凪ちゃんが連絡して欲しいって言ってたわ」



ほんとに誰?


葉凪と一緒にいた…?


まさか…


あの、αの人?


それならお母さんもαだと気づくはずだ。


お父さんという番を持ったとはいえ、お母さんはΩだし。


それに、なんでαの人と葉凪が一緒にいるのかわからない。



「ぐるぐる考えていないで、葉凪ちゃんに連絡してみたらいいんじゃないかしら?」


「…うん。連絡してみる」



ベッドの横に置かれているスクバから、スマホを探す。


わざわざ教室までスクバを取りに行ってくれたんだな…。