体中にまわった熱で頭がふわふわする。


ふわふわする頭とは対照的にゾクゾクする体は、

間違いなく刺激を求めていて、おかしくなりそうだ。


自分から漏れ出る荒い息の音でさえ、自分を刺激してしまう。



「うぅっ、」



やだ。


誰か、助けて。


葉凪。


お母さん。


もういっそ誰でも良いから楽にして欲しい。


そんな不穏な考えが浮かんでくるほど、

私には余裕がなかった。


“ガラガラガラ”


音を立てて扉が開く音がした。



「は、な…?」


「っ!……は?」



葉凪じゃ、ない…


声が男の人だ。


目線を扉の横に向ける。



「ッ!!」



図書室のときの、人だ…。


ということは、α。


1番会ってはいけない相手。



「っう、」



あの人も手で、口元を覆っている。


きっとΩのフェロモンがキツいのだろう。