「きりーつ、気をつけ、礼」



五時間目が終わる頃になっても、

ほとんど私の体調は変わらなかった。


そしてそのまま迎えたHR。


先生の話の途中から、私の体に変化が起きた。


少しだけしか火照っていなかった体が本格的に熱くなって、もうほとんど発情期(ヒート)が始まっていた。


ゾクッと、体の芯に熱がともったような感じがした。


やばいやばい。


どうしよう。


ドア側の端の席ということもあり、なんとか周りの人にはバレていないようだけど、このままだとバレてしまう。


いくらβとはいえ、異性のたくさんいるこの教室では、私自身の理性が切れてしまうのも時間の問題だろう。


とにかく、

この場から離れるしかない。


そう決めて、思い切って手を挙げる。



「…頭が痛いので、保健室行ってきます」



そう言い残して、教室を飛び出す。