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「あっ!柚菜っ!」


「お、はよう」



私が教室に入った途端に、大きな声を出して顔を輝かせた葉凪に曖昧な笑顔を返す。


あんな態度をとって帰ってしまったのだ、

何もなかったように葉凪と接するのは私には無理だ。



「一週間も休むからめっちゃ心配したよー!!

風邪直ってよかった!」


「う、うん。

あの、その、…ごめんね。いろいろ」


「えー?どういうこと?

気にしないでいいのに!」



葉凪の優しさに涙がでそうだ。


最近は泣いてばかりだな。



「えー、なんで泣きそうになってんの!

いいからいいから。

今まで通りでいこうよ」


「うんっ。

ありがとう」



Ωだと知っても差別しない優しい親友がいて、私はとっても幸せ者だ。


私がΩだということも広まっていないようだし、今までと変わらずに学校生活を送れそうで安心だ。


あのキスは屈辱でしかないけど今さらどうしようもない。


もう二度とあの人に会わなければいいんだ、と考えることにした。