ここは北ノ葉(きたのは)高校


至って普通の公立高校…


と言いたいところだけど、


実はそうでもない。


今の時代、


普通の公立高校なんてないに等しいのだ。


そう、この学校の生徒の


ほぼ100%はβなのだ。


ほぼ、というのは私がΩだから。


第二の性である、


Ω、α、βが同じ学校に通っていたのは


10年ほど前の話。


Ωの子供をもつ親は


子供が襲われることを恐れて


子供をΩだけの学校に通わせた。


αの子供を持つ親は


βやΩ、特にΩのことを見下しているので


子供をαだけの学校に通わせた。


そうすると


地域の公立高校に進学するのは


必然的にβだけになる。


そうすることで、


Ωは安全を確保し、


αは自尊心を守る。


悪いことではないと思う。


私がΩでありながら


βばかりの学校に通う理由は単純、


バカらしいから。


Ωというだけで


怯えて暮らすのは嫌だった。


中学の頃から


βだらけの中で暮らしているけど


Ωだとバレたことは1度もない。


抑制剤を飲んで、


Ωの匂いを誤魔化すための


香水をつけていればいい。


発情期(ヒート)のときは学校を休む。


おかげで体が弱いキャラになり、


それなりに友達もいる。