「……っ!!」
その瞬間、私の顔に自分の顔を近づけていた唯川朱俐___朱俐先輩は、ハッとしたように息を吸ってバッと私から離れた。
まるで、変なものを見て飛び退いたようだった。
自分で名前呼べって言ったくせに……。
「……行っていいですか?」
そろそろ、早い生徒が登校してくるかもしれないし……。
「あ、うん。」
何があったのか素直にどいてくれた。
あの人、なんか、おかしくなってる……?
でもまぁいいや、どーでもいい。
私は朱俐先輩を置いて、早足で校舎の中へ入った。
だから………
「……はぁ。まじ予想外だよ。……あんなにかわいーなんて。」
なんて、耳を真っ赤にしてに呟いていたことなど知る由もなかった。