「そろそろからかうのやめてくれません?」
単純にムカついてきた。なんで、私はこの人に弄ばれているんだろうか?
ドSかマゾヒストかなんなのか。
だいぶ変わった変な人だ。
はぁ……、と見せつけるようにため息をこぼす。
「あはは…っ、ごめんて。でも、可愛いは事実でしょ?」
ひとしきり楽しそうに笑ったあと、真面目な顔をした。
「…だからそれ。黙ってください。こんな毒舌で怖がりでひねくれた女が可愛いわけないので。」
こんな私は可愛くないし、素直じゃないし、冷たいし、理想の女の子からは程遠い。
別にこんな女を電車で狙う人なんていないだろう。
なんて、いつも思うのに。
「……自分を卑下しない。ひーちゃんは、かわいーよ。」
「……っ!!」
唯川朱俐の断言するストレートな言葉。
甘ったるくて吐き気がしそうなのに、胸が温かくなる。