「ねー、ひーちゃん。一緒に帰ろーよ。」
「……は?」
準備も終わって、そろそろ帰るかと思ったその時だった。
………。
この人、一緒に帰ろうって言ったよね?
「結構です。一人で帰ります。」
私は即座に断った。
この人といるのがバレたら次こそ終わりだ。
私が信頼のある優等生として生活できなくなる。
「えー?別によくない?俺、ひーちゃんのこともっと知りたいし。」
即座に断られて心外そうな顔をしている。
「……。」
……私は知りたくないんだよ、これ以上深入りしないでよ。
私はスルーして逃げようとしたが、古すぎて開かない図書館のドアのせいで捕まってしまった。
「……これで逃げられないね?とーぼー者さん?」
腕を軽く捕まれ、ニヤリと覗き込んできた。
まるでのんびりついてきた彼はこのドアのことを知っていたようだ。
うっざ……!!
「……あなた、腹黒すぎですね。」
「んー、蘭絆によく言われる。」
再び不敵にニヤリと笑った。
不覚にもその笑顔は艶めいて見えていつもの笑顔より彼らしいな、って思った。
こうやって超腹黒な唯川朱俐に捕まってしまい、強制的に一緒に帰ることになったのだった。