俺は再度彼女に目を向けた。
彼女はありえないくらいほど身軽に試合をこなしている。
「……なぁ、蘭絆。」
何にも縛られず、自由に圧倒的なゲームをする彼女を惹き込まれるように見ながら蘭絆に問いかける。
「んー?」
蘭絆も返事しながらも彼女の圧倒的なプレイに目を奪われているのだろう、心ここにあらずな返事が返ってくる。
「……名前、ひいろって言ったっけ?」
「うん、緋色の緋に彩りでひいろっていうらしーよ。」
緋彩、か。
篠宮緋彩、高1の超いい子ちゃん。
その上バスケ部じゃないくせに圧倒的な動きを見せる、只者じゃない。