「……緋彩?」


どうやら朱俐先輩たちを見つめて放心状態みたいになっていたらしい。


目の前にはキョトンとした朱俐先輩の顔が見えた。





「…っえ、あ……えっと、私に被害なんてないと思うので守ってもらわなくても大丈夫です。気持ちだけもらっておきます!」



「…別に迷惑なんて思ってないよ?」



私の気持ちを読むようにそう言った朱俐先輩だけど、今回ばかりは外れ。





「違いますよ、ほんとに私に被害なんて出るわけないから。ありがとうございます!」



私は返事が返ってくる前にでは!と言って六花たち2人をおいて自販機の前をあとにした。
 

結局あの人たちのせいで飲み物は買えなかった。



でも………



これ以上、この人に踏み入ったら。

私はまた人を信じ、傷つけられる。




あんな目にはもう遭いたくないから。





私は私のために朱俐先輩から逃げたんだ___