昼休みのことだった。


茉織と六花と自販機に飲み物を買いに行ったところにばったり出くわしのは。



もちろん出くわしたのは朱俐先輩。


隣にはもう1人見覚えはあるけど名前を思い出せないイケメンな先輩も一緒にいた。




「こんにちは、唯川先輩。」


私は文句を心に押し留め、表向きの笑顔で挨拶する。六花は冷ややかに睨みあげてるけどね。




「どーも。飲み物買いに来たの?それともどっか行く途中?」


「飲み物を買いに来ただけ。それより朱俐、いつまで知らない振りしてるつもり?」


私たちの会話を遮って割り込んできた六花。普段、六花がこんなことなんてしないから結構驚いた。




「んー何言ってんの?…なんてね。知ってる、こんな大事にするつもりはなかった。」


反省しているのかしていないのかそんなことを言った。

こっちからしたらあんたが他教室に行く時点で、大騒ぎになるんだよってつっこみたくなったけど。




「何言ってんの、そんな言い訳したってそのうち緋彩がいじめられるわよ。」

隣を見ると六花はずっと鋭い瞳で冷ややかに見上げている。






「だろーね。だから、俺が守るよ。」






「……っ!」

不意に私の瞳をしっかり見て言ってきた。



嘘偽りのない瞳と真っ直ぐすぎる言葉に胸が撃たれたように熱くなってくる。






まるで私に"アイ"を教えてくれているかのような錯覚に陥る。




ダメ……っ、もう人なんて……信じちゃいけない。やめて……先輩、これ以上私を引き込まないで。