「……ふつーにただの幼馴染っすよー」
「「は？」」
眠そうなあくび混じりの声が後ろからして、朱俐先輩と私は振り向いた。
「……っ！？ど、うして…、」
私は驚きと怒りに震えた。
だって……会話に割り込んできたのは、全ての元凶の魅音だったから。
「ねぇ、どうしてこんなとこにいるわけ？魅音のせいでどれだけ迷惑してると思ってるの？」
「こんちはーあなたは唯川朱俐先輩ですよね。この学校の有名人の。」
と私の怒りも全面スルーで朱俐先輩に話しかけた。
……はぁ、怒りで頭が痛くなりそう。
さすがに魅音は魅音でも自由奔放すぎる。
「どーも。俺は唯川朱俐ですけど、あんたは緋彩の何なの？」
朱俐先輩は目を細め、低い声で魅音に尋ねる。
その瞬間ヒヤッと温度が下がり、ゾクッと背筋が震えた。
……今思ったけど、先輩、なんで怒っているの？
絶対、怒ってるよね……？
「だからさっき言った通り幼馴染っすよ。」
魅音は気にした風もなくサラッと答える。
まぁ、別にそれが正解だけど。
ここで恋人ですって言われても困る。
