「じゃ、白根は篠宮緋彩の隣な。篠宮、色々教えてあげてやってくれ。」
「は……っ!!」
「えーこっちにしてよー!」
「せんせー篠宮さん頼りすぎー!!」
「あー…志倉は絶対頼らないから大丈夫だわ。」
「は、ひっどい。先生ひどすぎですよ!」
「あははっ…!!どんまーい、碧葵。」
「うるっさい…!」
先生の声と、クラスメイトのガヤガヤでハッと我に返る。
危な……っ、ぼんやりして無視するところだった。
「篠宮、頼んだぞー。」
「あ……、はい。分かりました。」
パサパサの口をなんとか開いて頷いた。
「ほら、白根。あそこの一番うしろだ。行け。」
「はぁい。」
前髪をかきあげながら、こっちへゆったり歩いてくる。
何にも興味がなさげな割に周りを見ている魅音は、しっかり私の瞳を見て近づいてくる。
「お前、緋彩だろ?」
と目力だけで問いかけてくるように。
絶対気づいてるよね………どうしよ、
「……っ、えっと…、白根くん。よろしくね。」
私たちの関係を誤魔化すように話しかけた。
「ん。」
と一文字だけ呟いた魅音は、ふぁ〜っとあくびをこぼして頬杖をついて窓の外を眺め始めた。
……やっぱ、よくわかんないやつ。