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 明るい窓際の一席に、暇を持て余した女性店員たちの視線が集まっている。
 正午までまだ間のあるこの時間、街の簡素な定食屋はさほど混んでいない。

「……このお店、旦那様はよく来られるのですか?」
「騎士仲間らと王都を視察に来る時、たまに寄るくらいだが」

 アレクシスが店の扉を開けるなり、(かしま)しいほどの歓迎ムードで迎えられたものの。続いてエリアーナが店に入れば、途端にしんと鎮まりかえってしまった。
 年嵩の年配店員に案内され、席に着けば……厨房に近い場所に立つ店員たちの好奇の目が刺さるようだ。

「騎士様っ、いらっしゃいませ! 今日は何になさいます?」

 いそいそとやってきた若い店員は、水の入ったコップを勢いよくテーブルに置きながらも、エリアーナにちらちらと視線を向けている。