「おつかれー」

後からゴールしてきた美緒奈ちゃんと合流して応援席に向かう。

永井(ながい)!ちょっといいか?」

永井、もとい美緒奈ちゃんが先生に話しかけられた。

美緒奈ちゃんは先生に連れて行かれてしまった。

ひとりぼっちで応援席への道を急ぐ。

「…い、おい、胡桃!」

話しかけてきたのは左京くんだった。

あれ、私って左京くんに呼び捨てにされてたっけ?

「は、はいっ!」

「なんもないの?」

何のことかよくわからない。

「え?何が?」

「顔色、良くない」

特に自覚はなかった…いや、あったかもしれない。

立ち上がった時に景色が歪んだり、100m走がやけに長く感じたり…

はっきり自覚してしまうともうダメだった。

頭がぼーっとして、くらりと目眩がした。

「っ、ちょ、」

気がついたら私は左京くんの腕の中にいた。

「ぁ、ごめん」