凛「いかないで、」














「どこもいかない」














凛「っ」














未だに凛は胸を抑えている














「凛、手こっち」














胸を抑えすぎて














逆に痛くなってる可能性もある














凛の手を握りながら














凛のことを抱きしめる














「そばにいる」














涙を流している凛














「ここにいるよ」














「大丈夫」














そう何度も何度も伝えていると














次第に呼吸が安定してきた














凛「けい」














「うん、だいぶ良くなったな」














そう言って、凛の頭をなでる














「心臓の音聞かせて」














凛「やだ」














「嫌かもしれないけど心配だから」














精神的なことだから














異常がないのは分かってる














ただ、そうじゃないかもしれない














「大丈夫」














そう微笑んで、診察をする














「うん、異常ないね」














凛「やだって言った、」














「そうだな」














そう言いながら、凛を抱きしめる














「凛、どうした」














凛「...」














「なんか不安なことあるの?」














凛「...」














不安がなければ発作は起きない














トラウマのことは充分承知だけど














今回はそれだけじゃない気がする














「だんまりね」














それなら最終手段に出よう














「樹に来てもらおうか」














無理やりだって分かってる














もちろん話したくないことも分かってる














ただ、この状況が続くのは














俺にとっても凛にとっても良くない














大きな不安を取り除かないと














凛は辛くて苦しいままだ