吐き気もようやく治まったようで














お嬢の口を拭いて














支えながらベッドへ横になってもらう














そして俺は椅子を持ってきて座った














「どのくらい飲んだ」














お嬢の吐瀉物を見て確信を得た














俺も救急科として経験を積んできたから














対応方法も処置方法も熟知しているが














薬を怖がっているお嬢がオーバードーズとは














と少し驚いている自分がいる














お嬢なりの理由があるとは思うが














凛「飲んでない」














そんな嘘すぐバレると分かっているだろうに














「お嬢はすぐ隠そうとするな」














出会った頃からそうだ














自分がどんなに苦しくても辛くても














1人で全部抱え込んで我慢をしていた














俺たちには弱音を吐かなかった














だが、俺は知っている














お嬢が隠れて泣いていることを














「そこまでして何を守りたい」














凛「...」














「何をそんなに怖がっている」














凛「京に嫌われたくないの」














愛というのは時に厄介な足かせになる














それは俺が身を持って知ったことだ














「小笠原はそんなこと思っていない」














凛「...」














「小笠原はずっとお嬢を大切にしている














これからも それは変わらないだろう」













凛「っ、(泣)」














「お嬢も本当は気づいているはずだ














小笠原がどれだけ大切に思っているか」














凛「分かってるよ、そんなの」














「だとしたら、やることは1つだろ














勇気をだして弱音を吐くことだけだ」














凛「やだ、こんなこと言ったら嫌われる」














そういってお嬢の呼吸が荒くなっていく