蓮「これは何の薬だ?」














凛「痛み止め、」














蓮「そうだな」














凛「怖い」














蓮「知ってる、すぐ終わらせる」














凛「うん」














蓮「大丈夫だ、安心しろ」














そう先輩が言うだけで














本当に安心できるような気持ちになる














「大丈夫だよ、凛。














少しだけお目々塞ぐからね」














俺が凛の目に手を置いて














針が入る瞬間を見えなくさせた














先輩はそれを見て点滴を入れた














そして、点滴の針を固定した














蓮「お嬢、終わったぞ」














偉かったなと言って凛の頭をなでる














俺は凛を抱きしめるのをやめて














椅子に座って凛の右手を握った














蓮「まだ怖いか」














凛「少しだけ」














蓮「そうか、そうだな」














凛「でも、痛くなかった」














蓮「俺がやって痛かったこと無いだろ?」














先輩は針を入れるのがすごく上手くて














全くと言っていいほど痛みを感じない














凛「うん(笑)」














蓮「点滴終わるまで少し寝てろ」














凛「そうする」














蓮「独りにしないから安心しろ」














凛「うん、分かった」














そう言うと凛は目をつぶって眠りについた














「ありがとうございました、先輩」














蓮「俺がやりたくてやっただけだ」














「点滴打たせてくれるとは思わなかったです」














蓮「お嬢はずっと怖いんだろう














薬もそうだが何より親の存在が。」














「...」














蓮「恐怖はあの時と何も変わっていない














むしろ増してるように見えた」














「そうかもしれません」














蓮「ただ お嬢がその恐怖と向き合えてるのは














少しずつだが お前たちのことを













信じたいと思ってくれてる証拠だ













だから何も迷う必要なんてない」














「ありがとうございます」














先輩にそう言ってもらえて嬉しい














蓮「お嬢がお前たちを信じている














それはお嬢の恐怖を打ち解く鍵になるかもな」














空を見上げながらそう語る先輩は














そうなる未来が見えているかのようだった














Fin.