湊月くんの甘い溺愛に困っています

「う、うん……」


渡してくれたその手は小さく震えていた。一体どっちの緊張なのか。想像しなくても分かることだけど。その理由が俺のことだから想像がやめられない。

結果よりも夢の反応を見てるのが、俺にとって1番楽しい。


「湊月くん、どうだった?結果」

「あ…うん。合格だって」


そう言うと「え…!?」っと嬉しそうに振り向いた。目を輝かせて俺に飛びついてきた。その身体を片手に持ったスマホよりも大切に受け止める。


「おめでとう湊月くん!!」

「ありがとう。せっかく合格したんだ。何かご褒美ちょうだい」

「ご褒美?何か作って欲しいの?」

「うーん…それもいいけど、もっと他に。俺が喜びそうなもの」


喜びの表情がきょとんとした顔になる。必死に考えているみたいだけど、中々答えにたどり着けないらしい。ヒントを与えたいところだが、たまには自分で考えてもらわないとな。

すると俺の服の襟の部分を掴み始めた夢。慣れているはずの顔を不意に近づけられると胸がドキッと高鳴る。

そのまま動かずにいると頬に彼女の唇が触れた。


照れながら見られると益々自分を保つのが辛くなる。無意識って怖いな……。


「ごめん!違った、よね…??」


はぁ〜っとため息が出るほど愛おしい。年下の幼なじみ、しかも彼女である夢にここまで翻弄されるなんて。俺もまだまだだな。


「間違ってない。正解だよ」


未熟でもいい。今は、大好きなキミに少しでも触れていたい。