「俺たち、似たもの同士だな」

「ふふ、そうかもね」

「俺はお前の絵、結構好きだぞ」

「え?」

「禍々しいのはゴメンだけど。お前の描く絵は昔っから丁寧で綺麗だからな。お前の性格が現れてる感じ。じゃ、俺あっちだから。また明日な」

「う、ん。また明日……」


気が付けば駅前に来ており、晶はもう一度私の頭を撫でてからバイト先がある方へと向かっていった。

私はその後ろ姿を見送りながら、


"俺はお前の絵、結構好きだぞ"

"お前の性格が現れてる感じ"


その言葉の意味を考える。


「ははっ……本当、晶はずるい」


昔、晶は同じように私の絵を好きだと言ってくれたことがあった。

そして、その言葉が私がここまで絵を描き続ける理由になっていることも知らないだろう。

長年描いてきて、いつしか上手いか下手かでしか考えていなかった。

丁寧で綺麗だなんて、予備校でも誰も言ってくれなかったよ。

時間ばかりかけすぎて、その割には下手くそとしか言われなかったよ。


「……ありがとう晶」


たった一言、晶は私がほしい言葉をくれる。

それがどんなに心強いか。きっと気付いていないからずるい。