「……私は、サッカーしてる晶、結構好きだよ」

「あ?なんだよ急に。鳥肌立つだろやめろ」

「失礼だなあもう。なんとなく言いたくなっただけだよ。……晶は昔からサッカー馬鹿で、でもそんな晶がかっこいいなあってずっと思ってた」

「……煽てても何も出ねぇよ」

「うん、別にそんなつもりで言ったんじゃないよ。ただ、大舞台で活躍してる晶のこと、いつかまた見たいなあと思っただけ」

「……バッカじゃねぇの」


窓の外を見ていてと言ったのを律儀に守ってくれる晶は、気まずそうに照れくさそうにガシガシと頭を掻く。
そんな姿に笑いそうになるのをぐっと堪えながら、少し乱れた髪の毛も彼らしいかと鉛筆を走らせる。


「大舞台ね……できることなら俺ももう一度立ちてぇよ」


そう言った晶の切ない笑顔に、思わず筆を止める。
その笑顔の中に様々な感情がこもっていることを感じて、見惚れてしまった。


「……綺麗」

「なに? なんか言ったか?」

「……ううん」


伏せた奥二重の目元。長いまつ毛。通った鼻筋にきゅっと上がる口角。

女子から人気が高いのは、何もサッカーが上手いだけじゃない。この容姿の良さが何よりの証拠だ。


「晶がどんな選択をしても、私はずっと影から応援してるから」

「そりゃ頼もしいな。どうせなら表から応援してほしいもんだけど」

「やだよ恥ずかしい」


綺麗なEラインに惚れ惚れしていることを悟られないように、私は無駄に口を動かすのだった。