「兄弟いないんだよね。重村君は?」
やってしまった、当たり障りのない返事をしてしまった。
うう、これで面白くない女って思われたらどうしよう。
「僕もいないんだよね。兄弟ってほしいよね」
「うん。なんだか優しいお兄ちゃんにあこがれる」
「お兄ちゃん?」
「うん。困ったときに助けてくれる優しいお兄ちゃんに憧れる」
困った時に助けてくれる。そんなお兄ちゃんが……
「なるほどな。僕は妹が欲しい」
「妹?」
「うん。なんか妹とかってかわいいでしょ」
「重村君は、甘えるほうじゃなくて甘えられる方が好きなの?」
「うん。だから、山本さんは僕に甘えてくれたらいいよ」
「じゃあ、そうする」
上手く話が出来てる。成功してるよね? 気を使わせてないよね。そこが少し怖いけれど、はじめてにしたら上出来でしょ。うん!
そして、甘えさせてと言ったものの、何を甘えたらいいんだろうか、それとも甘えない方がいいんだろうか。
「そう言えば、家ってどんな感じなの?」
「えっと」