「ちょっといいですか?」
彼に話しかけられた。どうしよう、なんとなく気まずい。今すぐに逃げ去りたい気分だ。
……何が彼をそこまで動かすんだろう。私にそんな用事なんて考えられないんだけど。とりあえず私をこれ以上変な勘違いさせないで欲しい。
「あの……」
彼がそう口を開いた。思った以上に私は考え込んでいたらしい。とりあえず「少し考え事をしていて……すみません」などと、当たり障りのないことを返した。
「昼のあの事は……」
私が一番気にしてるやつが来てしまった。どうしようか……
「告白を断られたっていう事ですか?」
「え?」
告白?
「じゃあ……」
「ちょっ……ちょっと待って? 告白ってどういうこと?」
私は何も呑み込めていないのに。
やっぱりあれは告白だったの?
なら何で?
ならなぜ?
私なんかと付き合っても得なんてないのに……
「告白しましたよね? 僕、昼休みに」
「あれ本当に告白だったの? 私の聴き間違いだと思ってた……」
なら、なおさら恥ずかしい。
告白受けてたんだ。ってことは、訊き返されたので断ったと思ってたのか。
「でも……なんで私なの?」