よく見るといつも薄化粧の高橋さんが、きちんとお化粧をしていて、凄く奇麗な格好をしている…。


凄く嫌な予感がした。
私はその予感が当たらないように、必死に祈りながら高橋さんに聞いた。


「今日は何処かにお出掛けなの?」

「……」


何で何も言ってくれないの?


「高橋さんも一緒に食べよう?」

「はい」


私は高橋さんの作った卵焼きを一口食べて言った。


「やっぱり高橋さんの料理は美味しいね!これからも教えて貰う事がいっぱいあるな」


すると高橋さんが言った。


「…私、これが最後の仕事なんです」

「何…で?」

「食べ終わったら…。今は食事を楽しみましょ?」


そう言って笑う高橋さんは凄く寂しそうで…。

私は胸がいっぱいになって、ご飯の味なんて分からなかった。




「何で辞めるの…?」

「旦那様からは何も聞いていませんか?」

「…うん」

「……。東城の家は今大変で、私を雇える状態ではなくなったと…言われました…」

「どういう事!?」

「後は旦那様に聞いて下さい…」


私は全身の血が引いていく感覚と、何も知らないでいた自分にショックを受けた…。


私だけ知らなかったの?