「私、手伝うから早く始めよ?」

「後一人揃ってないからな…」

「後一人?」

「あぁ。今回の事で世話になったからな…」

「…?」


ーピンポン

インターホンが鳴る音と同時にパパは玄関に向かい、その声と一緒に、哲平の声が聞こえた。


「まだ準備が出来てないから、そこに座って待っててくれ」

「はい」


パパと哲平が笑顔で話す、不思議な光景が見えた。


「そんなに仲…良かったんだ?」

「おじさんとちょこちょこ一緒に飲んだりしてたからな」

「うちの婿は一度も顔を出さなかったけどな」

「……」


パパの言葉が胸に突き刺さった。

鳴海はパパの所に顔を出すって言った時、止めたのは私だもん…。


「二人、やり直すのはどうだ?」


高笑いしながらパパが言う。


「僕は構いませんよ」


自身たっぷりな顔をして、哲平が言った。


「冗談はそれくらいにして…食べましょう?!」


少し怒った顔をして、ママが言う。

仲睦まじい家族の食卓。
きっと知らない人が見たら、そう思うだろう。

私が昔思い絵描いていたこの光景が、何か寂しくてキュンとした…。