「今日は仕事は…?」

「…暫く行かない事にしたんだ…」

「…そう」


私と鳴海は、会話にならない会話をする。



それから数日が経っても空っぽの会話のまま、鳴海はいつも家に居て、離婚の話しもしなければ、前向きな話もしない。


哲平ともあの日から会ってない。

私はどうすればいいのか分からなくて、実家へと向かった。


「あら久し振りね。上がりなさい」


ママは相変わらずで、ママの顔を見ると安心した。


「パパは?」

「居ないわよ。後援会の人達と話し合いをするって出て行ったわ」


ママはコーヒーを入れると、リビングの椅子に腰を掛ける。


「今日はどうしたの?」

「…うん。あのね…」


鳴海や哲平の事を言おうと思いながら、なかなか切り出せない私は、ママに聞いた。


「あの電話の人はどうなったの?」


ママにとって予想外の質問だったのか、ママはコーヒーを吹き出しそうになりながら言った。


「…もう終わったわよ」

「完全に…?」

「そうよ」


ママは寂しそうな顔をする処か、顔色一つ変えないで言った。

「ねぇ、何で家に帰る気になったの?」