「…?」

「昨日のお金…。鳴海さん病院に行くほどのケガじゃないから返して来いって…」

「仲直りしたのか?」

「…してない。好きじゃないって言われちゃった…」


私は精一杯作り笑いをして言った。


「どうするんだ?これから」

「…分からない」


私と哲平の間に少しの沈黙が流れ、哲平が言った。


「離婚して、又やり直さないか?俺達」

「…?!」


私は言葉に詰まった。
あの状態の鳴海を放って、哲平と…?


「返事は急がなくていいんだ。綾香の気持ちが落ち着くまで待ってるから」

「…うん」

「相変わらずお前って不器用だな。もっとストレートに生きろよ?お前の人生なんだからさ」

「…?」


哲平が言っている事の意味がよく分からなかった。


「俺、ちょっと出掛けて来るけど、まだ居る?」

「すぐ帰るの?」

「…一時間くらいかな?」

「じゃあ、居ていいかな?」

「あぁ。じゃあ、行って来るな」

「うん」


哲平が出掛けると、私は溜息を吐いた。


家に帰りたくない…。
鳴海が居たらどう接したらいいのか、分からないんだ。


この先の事も今は考えられない…。